将棋棋士
加藤 一二三 様
1940年1月1日、福岡県嘉麻市生まれの将棋棋士。九段・第40期名人・仙台白百合女子大学客員教授。
1954年、14歳で当時史上最年少の中学生プロ棋士となり、この記録は62年間続き「神武以来の天才」と呼ばれる。
1958年に史上最速でプロ棋士最高峰のA級八段に昇段。そして1982年に名人位に就任。
当時現役最年長棋士として活躍し、2017年6月20日、77歳で引退。
公式戦対局数は2505局で歴代一位。
現在は、バラエティ番組にも多く出演し、お茶の間の人気者となる。
今回は「ひふみん」の愛称で大人気の加藤一二三様に、
コミュニケーションのコツや大切にしていることをインタビューさせて頂きました。
コミュニケーションの基本は「相手を尊敬すること」
ーコミュニケーションのコツを教えてください。
コミュニケーションにおいて意識していることは2点あります。
まず1つ目は、親しい人でもそうでない人でも、「相手の目を見て微笑むこと」。
そして2つ目は、仕事関係の人でも夫婦でも、「~してもいいでしょうか?」と聞くことですね。
仕事柄、自分に関することを無断で使用されたりという機会が結構あります。
それを、始めに一度確認してもらえるだけで、印象は良いものに変わりますからね。
何より、コミュニケーションの基本は、「相手を尊敬すること」だと思っています。
上から目線は良くない。基本的に、私よりあなたの方が立派な方だと思って話さないといけません。
ある程度は以心伝心で、思っている好意や敬意の念は伝わるとは思いますが、
当然口に出したりしたほうが確実に届くものですから。
将棋の世界は真剣勝負。でも相手を思いやるからトラブルは起きないんです
ー将棋の世界では、どうですか?
将棋の世界は、実はあまりコミュニケーションは無いんです。
ただ、お互いが不快な思いをしないようにだけは心掛けているんですね。
ゆえに大きなトラブルは起きないんです。
真剣勝負だけれども、自分がされて不快に思うことは相手にも絶対しない。
将棋棋士は面白い職業で、戦いの世界ですから、もちろん熱闘を演じますが、
喧嘩にならないし、はっきり言って仲がいいんです。
その一番の理由は、自分の好きなように戦っているからです。
言い訳を作ろうと思えばいくらでもあるけど、負けたらすべて自己責任で、人のせいにはしない。
そして、「自分の考えが一番正しい」と思ってはならないんです。
そう思うと尊敬の念は持てないし、人の意見を聞けなくなりますからね。
意識ひとつで、人間はとても寛容になれるものです
ー加藤様が、常に大切にしていることを教えてください。
「衣食住、健康」これはとても大切です。
健康に関して言えば、2種類あって「体の病」と「精神的な病」がありますよね。
「体の病」の場合はわかりやすくて、周りの人たちは丁寧に息長く忍耐強く看病します。
それと同じように「精神的な病」、いわゆる精神的に欠点のある人にも丁寧に長く世話すべきなんです。
切り捨てないで、しっかり向き合い、長く付き合うことは大切にしています。
欠点がある人、自分にとって嫌だなと思う人をどれだけ暖かく受け入れられるか。
そんなことを意識していると、人間はとても寛容になれるわけです。
ーコミュニケーションの考え方について、とても丁寧に話してくださった加藤様。
尊敬と思いやりを忘れない人間性に、多くの方に愛されている理由を感じられました。
加藤様、ありがとうございました!
今回のインタビューはいかがでしたか?
相手と良いコミュニケーションを取ることがどれだけ重要かを感じとって頂けたのではないでしょうか。
コミュニケーション力を向上させて、会話をもっと楽しみませんか?